リスクリワードとは?計算方法とスプレッドを引いた実質の比率

損切りと利確を入れて「リスクリワード1:2」で取引しているつもりでも、口座の損益を見ると計算ほど利益が残っていないことがあります。その差の原因のひとつが、比率の計算にスプレッドや手数料が入っていないことです。
リスクリワードは、1回の取引で狙う利益と、負けたときの損失の比率です。
この記事では、リスクリワードの計算方法と期待値の求め方、コストを引いた実質の比率、チャートから利確の位置を決める方法を、ドル円とゴールドの数字で解説します。
目次
リスクリワードとは
リスクリワードは、損切りまでの値幅に対して、利確までの値幅がどれくらいあるかを表す比率です。「リスクリワード比」「リスクリワードレシオ」とも呼ばれます。
損切り30pips・利確45pipsなら、損失1に対して利益1.5なので「1:1.5」と書きます。利益の幅を損失の幅より大きく取る「損小利大」の取引は、後ろの数字が1より大きい取引のことです。
リスクリワードの計算方法
リスクリワードは、利確幅を損切り幅で割って計算します。
リスクリワード = 利確幅 ÷ 損切り幅
たとえばドル円を150.00円で買い、損切りを149.70円、利確を150.45円に置いた場合は次のとおりです。
45pips ÷ 30pips = 1.5
比率は1:1.5です。値幅の代わりに金額で割っても、同じ比率になります。
1ロット10万通貨の口座で0.1ロット(1万通貨)を取引したなら、損切りにかかったときの損失は3,000円、利確したときの利益は4,500円です。
過去の取引から計算する
これから入る取引の比率とは別に、過去の取引の結果から比率を計算する方法もあります。
実績のリスクリワード = 平均利益 ÷ 平均損失
勝った取引の利益の平均が6,000円、負けた取引の損失の平均が4,000円なら、実績の比率は1:1.5です。
注文時に1:2で入れていても、利確の前に手動で決済したり、損切りが指定した価格より不利に約定したりすると、実績の比率は計画より小さくなります。計画した比率と実績の比率は、ときどき見比べてみてください。
勝率と組み合わせた期待値
比率が大きいほど、低い勝率でも損益はプラスになります。ただし、利確を遠くに置けば、価格が利確まで届かずに損切りにかかる取引も増えます。
そのため、比率の良し悪しは勝率とセットで見る必要があります。両方をまとめて比べるときに使うのが、1回の取引で平均してどれくらい増えるかを表す期待値です。
期待値 = 勝率 × 平均利益 − 負ける確率 × 平均損失
勝率40%・損切り30pips・利確45pipsなら、1回あたりの期待値は次のとおりです。
0.4 × 45pips − 0.6 × 30pips = 0pips
比率は1:1.5ありますが、勝率40%では損益はプラスマイナスゼロです。同じ損切り30pipsで、勝率と比率の組み合わせを変えると次のようになります。
勝率とリスクリワードの組み合わせごとの1回あたりの期待値(損切り30pips・コストを除く)
| 勝率 | リスクリワード | 1回あたりの期待値 |
|---|---|---|
| 55% | 1:1 | +3.0pips |
| 40% | 1:1.5 | 0pips |
| 35% | 1:2 | +1.5pips |
この3つの中では、比率が一番小さい1:1で勝率55%の組み合わせが、期待値は一番大きくなります。
損益がプラスマイナスゼロになる勝率の式や、損切り幅からロット数を計算する方法を知りたい方は、以下の記事をチェック!
スプレッドを引くと比率は下がる
ここまでの計算には、スプレッドや取引手数料が入っていません。実際の損益ではコストの分、利益は減り、損失は増えます。
チャートの値幅とスプレッド
MT5のチャートのローソク足は、売値(Bid)で表示されています。一方、買い注文は買値(Ask)で約定するため、エントリーした時点でスプレッド分の含み損から始まります。
買いの場合で、チャートの安値の少し下に損切り、高値の手前に利確を置き、その値幅をチャートで測ったとします。ドル円でチャート上の損切り幅が30pips・利確幅が45pips、スプレッドが2pipsなら、実際の損益は次のようになります。
損失 = 30pips + 2pips = 32pips
利益 = 45pips − 2pips = 43pips
実質の比率は約1:1.34で、チャート上の1:1.5を下回ります。
損益がプラスマイナスゼロになる勝率も、コストを含めた値幅で計算し直します。
損益分岐の勝率 = 損切り幅 ÷(損切り幅 + 利確幅)
32pips ÷(32pips + 43pips)≒ 42.7%
コストを入れない計算では40%なので、同じ取引でも勝率が約2.7ポイント多く必要です。勝率40%のままなら、期待値は1回あたり0pipsから−2pipsに下がります。
売りの場合は、利確と損切りがAskで判定されるため、注文の置き方に注意が必要です。売りの注文の置き方は、利確の置き方の節で説明します。
値幅が狭いほど影響が大きい
スプレッドは損切り・利確の幅に関係なくかかるため、値幅が狭い取引ほど比率への影響が大きくなります。チャート上ではどれも1:2の取引を、スプレッド2pipsで比べると次のとおりです。
スプレッド2pipsのときの、チャート上で1:2の取引の実質のリスクリワード
| チャート上の損切り・利確 | 実質のリスクリワード | 損益分岐の勝率 |
|---|---|---|
| 5pips・10pips | 約1:1.1 | 約46.7% |
| 10pips・20pips | 1:1.5 | 40.0% |
| 20pips・40pips | 約1:1.7 | 約36.7% |
| 50pips・100pips | 約1:1.9 | 約34.7% |
コストを入れない1:2の損益分岐の勝率は33.3%です。損切り5pips・利確10pipsの取引では、必要な勝率がそこから13ポイント以上上がります。
スプレッドの広さは、業者や口座タイプ、時間帯によって変わります。値幅の狭い取引では、注文の前にその時点のスプレッドを足して計算しましょう。
手数料がかかる口座での計算
スプレッドとは別に取引手数料がかかる口座では、手数料をpipsに直してスプレッドに足します。
ドル円を1ロット(10万通貨)取引すると、1pipsの値動きで損益は1,000円変わります。1ロットあたり往復6ドルの手数料なら、1ドル150円で900円なので、pipsに直すと次のとおりです。
6ドル × 150円 ÷ 1,000円 = 0.9pips
スプレッドが0.6pipsなら、コストの合計は1.5pipsとして計算します。
ゴールドで計算する
ゴールド(XAUUSD)は、値幅をドルで数えます。1ロットが100オンスの口座なら、1ドルの値動きで1ロットの損益は100ドル変わります。
チャート上で損切り5ドル・利確10ドル、スプレッドが0.4ドルの買いなら、実際の損益は次のとおりです。
損失 = 5ドル + 0.4ドル = 5.4ドル
利益 = 10ドル − 0.4ドル = 9.6ドル
実質の比率は約1:1.8、損益分岐の勝率は36%です。0.01ロット(1オンス)なら、損切りにかかったときの損失は5.4ドルで、1ドル150円なら810円になります。
ゴールドはドル円より値動きが大きく、損切り・利確の幅も広くなりやすい銘柄です。ただし、経済指標の発表前後などはスプレッドが広がることもあるため、その時点のスプレッドで計算してください。
ゴールドで取引するときの必要証拠金やロット数の目安を知りたい方は、以下の記事をチェック!
損切りが滑ったときの比率
逆指値の損切りは、指定した価格ちょうどで決済されるとは限りません。経済指標の発表直後のように価格が飛ぶと、指定した価格より不利な価格で約定することがあります。
損切り30pips・利確45pipsの取引で損切りが10pips滑ると、その回の損失は40pipsです。1回の滑りで、利確1回分の利益に近い損失が出ることになります。
指標の発表時刻をまたいでポジションを持つときは、滑った場合の損失も含めてロット数を決めておくとよいでしょう。
利確の置き方
比率を先に決めて、損切り幅の2倍の位置に利確を置くような方法もあります。その場合も、利確の価格がチャートで見て届きそうな位置かは確かめておきます。
直近の高値・安値の手前に置く
買いなら、上にある直近の高値の少し手前に利確を置きます。直近の高値の付近では売りの注文が出やすく、価格が押し戻されることがあるためです。
高値ちょうどに置くと、あと数pipsのところで届かずに反落することもあります。150.00円のようなキリのいい価格も、同じように価格が止まりやすい水準です。
売りの利確はAskで判定される
売りのポジションは買値(Ask)で決済されるため、利確と損切りもAskで判定されます。チャートに表示されているのは売値(Bid)なので、サポートラインちょうどに利確を置くと、チャート上で線に触れても決済されないことがあります。
スプレッドが2pipsなら、売りの利確はチャートの線より2pips以上上に置きます。反対に売りの損切りは、チャートの高値に届く前に決済されやすくなるため、高値からスプレッドより離して置きましょう。
MT5では、チャートのプロパティからAskの線を表示できます。売りの注文を出すときは、Askの線を表示しておくと位置を確かめやすくなります。
ATRで届く距離か確かめる
利確の位置が決まったら、その値幅が普段の値動きで届く距離かを確かめます。ATRは、一定期間の値動きの平均的な大きさを表示するインジケーターです。
たとえば1時間足のATRが12pipsのときに利確を48pipsに置くと、1時間足4本分の値動きがすべて同じ方向に進んで、ようやく届く距離です。
その日のうちに決済するつもりなら、日足のATRも見て、利確幅が1日の値動きの範囲に収まっているかを確認しておくとよいでしょう。
比率が足りない取引は見送る
チャートから損切りと利確を決めたら比率を計算し、自分で決めた基準を下回る取引は見送ります。比率を上げるために利確だけを遠くに動かしても、利確まで届かない取引が増えるだけです。
基準は、コストを引いた実質の比率で決めておきます。「実質1:1.5以上」と決めているなら、チャート上で1:2の損切り10pips・利確20pipsの取引は、スプレッド2pipsで基準ちょうどです。
損切りを狭めて比率を上げる場合
利確をそのままにして損切りを近づけても、比率は上がります。損切りを30pipsから10pipsに狭めると、利確45pipsの取引はチャート上で1:4.5です。
ただし、スプレッド2pipsを入れると損失12pips・利益43pipsで、実質は約1:3.6になります。値幅が狭くなるほど、スプレッドの影響は大きくなります。
さらに、損切りが普段の値動きの範囲に入ると、ヒゲだけで損切りにかかる回数が増えます。損切りは、予想が外れたと判断できる価格から動かさずに、比率は利確の位置と見送りの基準で調整してください。
一部決済すると比率は変わる
含み益が出たところでポジションの一部を決済し、残りの損切りを建値に動かす方法もあります。この場合は、取引全体の比率が変わります。
たとえば1ロット10万通貨の口座で、ドル円を0.2ロット・損切り30pips・利確60pipsの1:2で買ったとします。損切りにかかったときの損失は6,000円です。
30pipsの含み益が出たところで半分の0.1ロットを決済すると、3,000円の利益が確定します。残りの0.1ロットは、損切りを建値に動かします。
残りが利確まで届けば、利益は3,000円と6,000円で合計9,000円です。比率は9,000円 ÷ 6,000円で1:1.5になり、全量を持ち続けた場合の1:2より下がります。
一方、残りが建値まで戻った場合でも、3,000円の利益は残ります。いずれもコストを除いた金額なので、実際にはスプレッド分を差し引いて考えてください。
MT5で一部決済や損切りの移動をする手順を知りたい方は、以下の記事をチェック!
EdgeGraph FXで比率を計算する
EdgeGraph FXの口座は円建てなので、決済した取引の損益も円で記録されます。勝った取引と負けた取引の金額から、そのまま実績の比率を計算できます。
スプレッドは相場に合わせて変わる変動制で、銘柄と口座タイプによって違います。各銘柄のスプレッドは公式サイトの「通貨ペア・スプレッド」のページに掲載していますので、取引する銘柄の数字で計算してください。
マイクロ口座とスタンダード口座は、取引手数料が無料です。
一方、プロ口座は1ロットあたり往復6ドルの取引手数料がかかり、ドル円なら1ドル150円で約0.9pips分になります。プロ口座で計算するときは、スプレッドにこの手数料を足してください。
ロスカットはどの口座タイプも証拠金維持率20%で、損切りの代わりにはなりません。計画した比率どおりに損失を止めるには、注文ごとに逆指値で損切りを入れておく必要があります。
よくある質問
まとめ
リスクリワードは、利確幅を損切り幅で割って計算します。ただし、実際の損益はスプレッドや手数料を引いた実質の比率で決まるので、注文の前にコストを足した値幅で計算しておくことが大切です。
EdgeGraph FXでは、銘柄ごとのスプレッドと口座タイプごとの取引手数料を公式サイトで公開しています。取引する銘柄の数字を当てはめて、実質の比率を計算してみてください。
まずはデモ口座で損切りと利確を入れた注文を出し、MT5に表示される値幅から比率を計算してみることもできます。
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